持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する
SDGs17の目標は、ストックホルムレジリエンスセンターがイメージしているSDGs目標をウェディングケーキに見立てた「ウェディングモデルケーキ」の最頂部に位置するSDGs目標全体を包括する目標とも言えます。
細かくターゲットを見てみると、先進国と後進国の連携や施策レベルの連携を示しているようでもありますが、国内間の様々なパートナーシップの側面もあるようです。
SDGsは、目標やターゲットが掲げられていますが、その実施手段や方法論に関しては細かいルールはありません。ただ、目標達成のためには、各国連携、各国の自治体(行政)、企業、NGO、NPO、個人、様々なステークホルダーが連携する必要が言われています。
それが、ターゲット一覧では「資金」「技術」「能力構築」「貿易」「体制面」「政策・制度的整合性」「マルチステークホルダー・パートナーシップ」「データ、モニタリング、説明責任」という分類としている背景であると言えます。
*それぞれのカテゴリーの特徴とキーワード
「資金」ターゲット17.2 開発途上国に対するODA(政府開発援助)をGNI(国民総所
得)比0.7%とする先進国の目標、民間投資への期待
「技術」ターゲット17.7 民間ビジネスの拡大のチャンス(環境に配慮した技術の開発、移転や拡散)
「能力構築」ターゲット17.9 日本政府や先進国による化学技術イノーベーションへの期待と、南北協力や南南協力
「貿易」ターゲット17.7、17.2、17.13 多角的貿易体制の推進、開発途上国に留意した貿易体制、マクロ経済の安定
「体制面」「政策・制度的整合性」ターゲット17.4、17.15 政策の一貫性とリーダーシップ
の発揮
「マルチステークホルダー・パートナーシップ」「データ、モニタリング、説明責任」
ターゲット17.16、17.7 根気強くかつ粘り強いステークホルダーとの対話、アカウンタビリティ
*SDGs合意形成までの長い道のり
・1972年 環境問題と開発問題(≒経済問題)に関する最初の国際会議(ストックホルム会議)が開催され、いわゆる「持続可能な開発」の最初の議論が行われた。
ここで発信された「かけがえのない地球」はISO(国際標準化機構:International
Organization for Standardization)の起点になっていると言われている。
・1987年 環境と開発に関する世界委員会(ブルントラント委員会)で、「持続可能な開
発=Sustainable Development」という言葉が初めて提唱され、「我ら共有の未来」が発信
された。同年、モントルオールで「オゾン層を破壊する物質に関する会議」が開催され、
環境分野がSDGsに登場した。
・1992年 リオデジャネイロで地球サミットが開催された。気候変動枠組み条約や生物多
様性条約などが締結された。
・1997年 COP3(1992年に発足した気候変動枠組締結国会議)が開催され、京都議定書
が締結された。
・2000年 国際的なルールを定めた「ミレニアム目標=MDGs」が国連から提唱された。
・2001年 悲惨なニューヨークの爆破テロが起きる。
・2002年 ヨハネスブルクサミット開催 地球環境問題と開発経済問題が同じテーブルで
活発に議論されはじめた
・2012年 リオデジャネイロで再び開催された国連持続可能な開発会議が開催され、SDGsの下地ができた。
実に40年以上の年月を要したSDGs採択までの道のり、2030年のゴールに向かって、個人、企業、様々な組織でパートナーシップを組んで同じ目標に向かっていかねばなりません。
目標17 パートナーシップで目標を実現しよう ターゲット一覧
<資金>
17.1 課税及び徴税能力の向上のため、開発途上国への国際的な支援なども通じて、国内資源の動員を強化する。
17.2 先進国は、開発途上国に対するODAをGNI比0.7%に、後発開発途上国に対するODAをGNI比0.15~0.20%にするという目標を達成するとの多くの国によるコミットメントを含むODAに係るコミットメントを完全に実施する。ODA供与国が、少なくともGNI比0.20%のODAを後発開発途上国に供与するという目標の設定を検討することを奨励する。
17.3 複数の財源から、開発途上国のための追加的資金源を動員する。
17.4 必要に応じた負債による資金調達、債務救済及び債務再編の促進を目的とした協調的な政策により、開発途上国の長期的な債務の持続可能性の実現を支援し、重債務貧困国(HIPC)の対外債務への対応により債務リスクを軽減する。
17.5 後発開発途上国のための投資促進枠組みを導入及び実施する。
<技術>
17.6 科学技術イノベーション(STI)及びこれらへのアクセスに関する南北協力、南南協力及び地域的・国際的な三角協力を向上させる。また、国連レベルをはじめとする既存のメカニズム間の調整改善や、全世界的な技術促進メカニズムなどを通じて、相互に合意した条件において知識共有を進める。
17.7 開発途上国に対し、譲許的・特恵的条件などの相互に合意した有利な条件の下で、環境に配慮した技術の開発、移転、普及及び拡散を促進する。
17.8 2017年までに、後発開発途上国のための技術バンク及び科学技術イノベーション能力構築メカニズムを完全運用させ、情報通信技術(ICT)をはじめとする実現技術の利用を強化する。
<能力構築>
17.9 すべての持続可能な開発目標を実施するための国家計画を支援するべく、南北協力、南南協力及び三角協力などを通じて、開発途上国における効果的かつ的をしぼった能力構築の実施に対する国際的な支援を強化する。
<貿易>
17.10 ドーハ・ラウンド(DDA)交渉の結果を含めたWTOの下での普遍的でルールに基づいた、差別的でない、公平な多角的貿易体制を促進する。
17.11 開発途上国による輸出を大幅に増加させ、特に2020年までに世界の輸出に占める後発開発途上国のシェアを倍増させる。
17.12 後発開発途上国からの輸入に対する特恵的な原産地規則が透明で簡略的かつ市場アクセスの円滑化に寄与するものとなるようにすることを含む世界貿易機関(WTO)の決定に矛盾しない形で、すべての後発開発途上国に対し、永続的な無税・無枠の市場アクセスを適時実施する。
<政策・制度的整合性>
17.13 政策協調や政策の首尾一貫性などを通じて、世界的なマクロ経済の安定を促進する。
17.14 持続可能な開発のための政策の一貫性を強化する。
17.15 貧困撲滅と持続可能な開発のための政策の確立・実施にあたっては、各国の政策空間及びリーダーシップを尊重する。
<マルチステークホルダー・パートナーシップ>
17.16 すべての国々、特に開発途上国での持続可能な開発目標の達成を支援すべく、知識、専門的知見、技術及び資金源を動員、共有するマルチステークホルダー・パートナーシップによって補完しつつ、持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップを強化する。
17.17 さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップを奨励・推進する。
<データ、モニタリング、説明責任>
17.18 2020年までに、後発開発途上国及び小島嶼開発途上国を含む開発途上国に対する能力構築支援を強化し、所得、性別、年齢、人種、民族、居住資格、障害、地理的位置及びその他各国事情に関連する特性別の質が高く、タイムリーかつ信頼性のある非集計型データの入手可能性を向上させる。
17.19 2030年までに、持続可能な開発の進捗状況を測るGDP以外の尺度を開発する既存の取組を更に前進させ、開発途上国における統計に関する能力構築を支援する。