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目標3:【すべての人に健康と福祉を】

あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する

世界の平均寿命は、2019年・WHOの調査によると、73.3歳。日本は第一位の84.3歳という驚異的な高齢社会になっています。最下位のアフリカのレソト共和国の50.7歳と比較すると33年も長生きというデータがあります。

これは、日本では、医療制度・教育インフラ・社会福祉制度などへのアクセスが比較的確保しやすい環境にあることがその背景となっていると思われます。

さて、2020年に世界で広まった新型コロナウイルス。世界のみならず、日本もこのウイルスによって大きな打撃を受けてしまいました。                                                                                                                                      

このような感染症を2030年までには根絶するというターゲット(3.3)や、ワクチンや医薬品開発支援(3.b)、薬物乱用やアルコールの過剰摂取(3.5)、たばこ規制の問題(3.a)、さらに、交通事故の死傷者数の半減(3.6)など、私たちの身の周りのありとあらゆる問題を包含し、ターゲット数も多い(13個)のが目標3の特徴です。

 

日本政府が特に力を入れているのは、ターゲット3.8にある「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ」の達成だと言われています。ユニバーサル・ヘルス・カバレッジとは、「すべての人が適切な健康管理、予防、治療、機能回復に関するサービスを、支払可能な費用で受けられる」ことを意味します。人口減少率が高い地方においては、保険医療への物理的、経済的アクセス、さらに、国内全体では日本滞在の障がい者や外国人が保険医療を受けるための社会的な障壁など、このコロナ禍の中で新たな課題も浮き彫りになってきました。早急な課題解決が求められるところです。

 

一方、世界の現実を俯瞰すると、(出典:(株)テクノファ平林良人のメルマガ『つなげるツボ』より転載*)

■世界の母親死亡数■*


「出産は命がけ」と言われる通り、出産において死亡する母親や子どもは世界的に少なくありません。母親や子どもが亡くなる死亡率は、医療環境や衛生環境などで大きく変わることがわかっています。最新の世界保健機関(WHO)発表によると、世界の妊産婦死亡数は
年間30万3,000人であり、妊産婦死亡率は0.216%(妊産婦10万人に対して216人)だそうです。毎日830人が出産により死亡している計算になるそうです。

 

■母親及び子どもの死亡■*


開発途上国における母親及び子どもの死亡が多いのは、次の3つの理由からであると国連は説明しています。
・若すぎる出産
・医療環境と保健サービスの未発達
・感染症対策の遅れ

 

<若すぎる出産について>*


国連広報センターからの報告では、母親・子どもの死亡率が高い開発途上国では、出産リスクが高い青年期(10~19歳)の出産が多いことが理由の一つであるとしています。

開発途上国では年間730万人の18歳未満の少女が出産しており、そのうち15歳未満での出産は200万人、そして年間7万人の少女が妊娠と出産の合併症によって亡くなっているそうです。女性の身分の低さ、児童婚が合法化されている、極度の貧困による圧力、などが若すぎる出産と死亡をもたらしていると説明されています。

 

<医療環境と保健サービスの未発達について>*


開発途上国では近くに医療施設がなく、医者や看護師が少ない地域が多く存在します。そのような地域では、自宅出産が数多く行われ、知識のない介助者が多量出血などに対応できず、母子の命が失われることは珍しくないそうです。風疹のワクチンを接種し、定期的に検診を
受け、出産には訓練を受けた助産師が立ち会い、出産後には母子の健康状態を都度確認することが、母子の命を救うと説明されています。

 

<感染症対策の遅れについて>*


感染症にかかっている母親の子どもは、低体重で生まれる可能性が高く、健康に生まれても重度の感染症(敗血症や破傷風など)にかかり死亡する恐れがあります。

開発途上国では、HIVやマラリアなどの感染症にかかっている女性が出産すると、敗血症などの合併症リスクが高く、ユニセフによると感染症による死亡は、新生児死亡の36%を占めているそうです。

 

これらに対して、SDGsは妊産婦死亡率を、10万人に対して70人以下にするという明確な目標数値を掲げました。また、2012年に1000人当たり48人だった5歳児未満の志望率をさらに削減し、2030年までに新生児及び5歳児未満の予防可能な志望をゼロにする目標も掲げています。さらには、心血管疾患、癌、糖尿病、慢性の呼吸器疾患といった非感染症疾患により若年死亡率を3分の1減少させる(3.4)などと、早急に取り組むべきゴールが示されています。なお、日本では喫緊の課題ともなっている自殺者数を撲滅することは、企業や自治体が連携しながら取り組んでいくべき目標です。

 

人生100年時代と言われるなかで、健康を維持しながら人々が生きるための仕組みの構築することは、持続可能な社会を作るための基本とも言え、個人も企業も自治体もきちんと取り組んでいく必要があります。

 

*出所:独立行政法人 国際協力機構

目標3 すべての人に健康と福祉を ターゲット一覧

3.1 2030 年までに、世界の妊産婦の死亡率を出生 10 万人当たり 70 人 未満に削減する。

3.2 2030すべての国が新生児死亡率を少なくとも出生 1,000 件中 12 件以下 まで減ら

し、5 歳以下死亡率を少なくとも出生 1,000 件中 25 件以 下まで減らすことを目指

し、2030 年までに、新生児及び 5 歳未満 児の予防可能な死亡を根絶する。

3.3 2030 年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根

絶するとともに肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する。

3.4 2030 年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて 3 分の 1 減

少させ、精神保健及び福祉を促進する。

3.5 薬物乱用やアルコールの有害な摂取を含む、物質乱用の防止・治療を強化する。

3.6 2020 年までに、世界の道路交通事故による死傷者を半減させる。

3.7 2030 年までに、家族計画、情報・教育及び性と生殖に関する健康の国家戦略・計画へ

の組み入れを含む、性と生殖に関する保健サービ スをすべての人々が利用できるようにする。

3.8すべての人々に対する財政リスクからの保護、質の高い基礎的な保 健サービスへのア

クセス及び安全で効果的かつ質が高く安価な必須医薬品とワクチンへのアクセスを含

む、ユニバーサル・ヘルス・ カバレッジ(UHC)を達成する。

3.9 2030 年までに、有害化学物質、ならびに大気、水質及び土壌の汚染による死亡及び疾

病の件数を大幅に減少させる。

3.a すべての国々において、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約の実施を適宜強

化する。

3.b 主に開発途上国に影響を及ぼす感染性及び非感染性疾患のワクチ ン及び医薬品の研

究開発を支援する。また、知的所有権の貿易関連 の側面に関する協定(TRIPS 協定)及

び公衆の健康に関するドーハ 宣言に従い、安価な必須医薬品及びワクチンへのアクセ

スを提供する。同宣言は公衆衛生保護及び、特にすべての人々への医薬品のアクセス提

供にかかわる「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定 (TRIPS 協定)」の柔軟性に

関する規定を最大限に行使する開発途 上国の権利を確約したものである。

3.c 開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国において保健財政及び保健人

材の採用、能力開発・訓練及び定着を大幅に拡大させる。

3.d すべての国々、特に開発途上国の国家・世界規模な健康危険因子の 早期警告、危険因

子緩和及び危険因子管理のための能力を強化す る