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目標2:【飢餓をゼロに】

飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに持続可能な農業を推進する

この目標には、食料、栄養、農業、と重要なキーワードが3つも出てきます。また、それぞれのキーワードごとに、他目標との深い関りがあることも気づくはずです。

食料は「気候変動」、栄養は「健康と福祉」、農業は「安全な水」や「気候変動」、「陸や海の豊かさ」、「つくる責任つかう責任」などそれぞれに相互関連性があり、また、場合によってはトレードオフになることもあり、包括的な思考を持つことが避けられません。 

例えば、生産性を担保するため食糧増産を実行することにより、土地利用の変化や生態系の変化など、ネガティブインパクトが伴う場合もあります。

SDGsでは、ターゲットのアルファベットの箇所は、実行手段、つまり方法論とも言われています。2.a「農村インフラ、農業研究・普及サービス、技術開発及び植物・家畜のジーン・バンクへの投資の拡大」、2.b「すべての形態の農産物輸出補助金及び同等の効果を持つすべての輸出措置の並行的撤廃」、2.c「食料市場及びデリバティブ市場の適正な機能を確保するための措置を講じ、食料備蓄などの市場情報への適時のアクセス」など、具体的にどのようにという視点で解決のための方向性が示されています。 

また、SDGsの視点でビジネスセクターの活躍領域の指標を測ることを目的とする「ビジネスと持続可能な開発員会」のレポートでは、「食料の農業」「都市とモビリティ」「エネルギーと原材料」「健康および福祉」の4つのビジネス領域を定め、またそれらの下部構造に60の領域が設定されています。ビジネスチャンスを包含した目標でもあると言え、日本でも、余った食材とそれを必要としている消費者や事業者などとのマッチングサービスも登場してきています。

さて、現実はどうなっているのでしょうか。

・23億人が食べ物不足、5歳未満の子供の22%(1億5千万人)が発育障害

・年間約2842万トンの食品廃棄物が排出されている(2015年・消費者庁)

・上記のうち、まだ食べられるのに捨てられる「食品ロス」が646万トン

・一人あたりの食品ロスは年間51キログラム(消費者庁)

 

データは年々変化しますが、このコロナ禍でさらに拍車がかかっています。コロナ禍では、地方の農業従事者から、肉が余っているとの悲鳴が多く聞かれました。一方で、ECサイトを活用し、食品流通の在り方を大きくかえ、ビジネスモデルを再構築した事例も多く見られました。

そのような中、観光業界も最近、SDGsに取り組み始めており、

例えば、「3010運動」(飲食店等での会食や宴会時に、最初の30分と最後の10分は自分の席で食事をし、食べ残しを減らす運動)があります。“もったいない”の精神を心がけ、食品ロス削減の取組みに協力するものです。SDGsに向けたボトムアップとしての活動が益々盛んになってくると思われます。個人と組織が協力しあって新しい食のコンセプトも登場してくるのは楽しみでもあります。

環境省3010運動のポスター(ダウンロードが可能です)

持続可能な農業について

最近では、ロシアとウクライナとの紛争により、小麦粉など食料品価格が高騰しその影響が飲食業界に対して大きな影響を及ぼすようになってきています。“レジリエントの農業”の実践については、戦争や気候変動が大きくかかわっていることが生活者も肌で感じているところです。一方で、ドローンやIT技術による農業生産性向上を目指したスタートアップ企業が地方にどんどん生まれてきています。また、大手IT企業は、植物の持つ自己組織化の力をIT活用により、「*協生農法」を開発され、アグリテックで課題解決と地方創生の動きも大いに期待されるところです。

 

*土地を耕さず肥料や農薬も使用せず、多種多様な植物を混生・密生させた生態系の営みにより食料生産を向上させること(ソニーコンピューターサイエンス研究所 舩橋氏の提唱)

 

目標:2飢餓をなくそう ターゲット一覧

2.1  2030年までに、飢餓を撲滅し、すべての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。

 

2.2 5歳未満の子どもの発育阻害や消耗性疾患について国際的に合意されたターゲットを2025年までに達成するなど、2030年までにあらゆる形態の栄養不良を解消し、若年女子、妊婦・授乳婦及び高齢者の栄養ニーズへの対処を行う。

 

2.3 2030年までに、土地、その他の生産資源や、投入財、知識、金融サービス、市場及び高付加価値化や非農業雇用の機会への確実かつ平等なアクセスの確保などを通じて、女性、先住民、家族農家、牧畜民及び漁業者をはじめとする小規模食料生産者の農業生産性及び所得を倍増させる。

 

2.4 2030年までに、生産性を向上させ、生産量を増やし、生態系を維持し、気候変動や極端な気象現象、干ばつ、洪水及びその他の災害に対する適応能力を向上させ、漸進的に土地と土壌の質を改善させるような、持続可能な食料生産システムを確保し、強靭(レジリエント)な農業を実践する。

 

2.5 2020年までに、国、地域及び国際レベルで適正に管理及び多様化された種子・植物バンクなども通じて、種子、栽培植物、飼育・家畜化された動物及びこれらの近縁野生種の遺伝的多様性を維持し、国際的合意に基づき、遺伝資源及びこれに関連する伝統的な知識へのアクセス及びその利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分を促進する。

 

2.a 開発途上国、特に後発開発途上国における農業生産能力向上のために、国際協力の強化などを通じて、農村インフラ、農業研究・普及サービス、技術開発及び植物・家畜のジーン・バンクへの投資の拡大を図る。

 

2.b  ドーハ開発ラウンドの決議に従い、すべての形態の農産物輸出補助金及び同等の効果を持つすべての輸出措置の並行的撤廃などを通じて、世界の農産物市場における貿易制限や歪みを是正及び防止する。

 

2.c 食料価格の極端な変動に歯止めをかけるため、食料市場及びデリバティブ市場の適正な機能を確保するための措置を講じ、食料備蓄などの市場情報への適時のアクセスを容易にする。